私の生き方 in アメリカ

#6: 失敗を恐れずに、やりたいことに挑戦するーリーヴス智恵子さん(DC)

12/26/2022 | 私の生き方 in アメリカ インタビュー

「女性の生き方インタビュー」六回目の今回は、トランペット奏者、音楽家のリーヴス智恵子さんにお話を伺いました。

1. アメリカに来た経緯を教えてください。

元々日本の音大に通っていて、アメリカの大学院に進学することを決めたのがきっかけです。アメリカの大学院では、日本でもずっとやっていたトランペットを専攻していました。トランペットを始めたきっかけは、中学生の時に吹奏楽部に所属していたことです。トランペットは吹くのが難しいと言われているのですが、すぐに音を出すことが出来たのでこの楽器にしようと決めました。その後の高校も音楽大学の附属高校に進学し、ずっとトランペットをやっていました。アメリカの大学院に進学にするにあたり、日本で通っていた大学の単位は認められましたが、英語のテスト(TOEFL or IELTS)の勉強は自力で頑張りました。無事に英語のテストをパスできたのですが、実際の大学院生活では苦労しました。大学院の修士課程を修了後は、助手をしながら博士課程に進み、現在はフリーランスのトランペット奏者として活動しており、ずっとアメリカに住んでいます。

2. 今情熱を持って取り組んでいることはありますか?

先ほども申し上げましたが、現在はフリーランスのトランペット奏者として、コンサートや教会でオーケストラの中で演奏をしています。DCは都市部ですのでコンサートの機会は多く、またアメリカはイースターやクリスマス等の重要なイベントがありますので、音楽演奏の需要は大きいです。しかし、飽和市場となっているので競争が激しいのが現状です。トランペットの練習は毎日欠かせませんし、自分自身のメンテナンスは非常に重要です。トランペットは自分自身の息によって作られる振動で音が作られます。つまり、自分自身も楽器の一部なんです。プロのトランペット奏者でも1週間休んでしまうと、基礎に戻って一から音を作り直さないといけません。

3. その仕事のどんなところが楽しいですか?

自分が大好きなものだから、演奏しているだけでとても幸せです!オーケストラは1つの音楽を一緒に作り上げていくので、チームワークが非常に重要です。演奏が成功したら、チームの皆とは友達みたいになって、仲間意識が強くなります。私のような、アジア人女性の金管奏者は少ないのですが、演奏するスキルがあると認めてもらえば、すぐに仲間に入れてくれます。

4. お仕事と子育ての両立はどのようにされていますか?

娘を生んだ時は中々練習時間が取れず、練習の時間があれば寝たい、という感じでした。この時期は、トランペット奏者としての活動を休止していたのですが、音楽を教える仕事はしていました。DCエリアは教育熱心な親御さんが多いので、そういった仕事の需要は特に多いように思います。音楽を教える仕事は今も続けています。今は夫の両親に協力してもらい、仕事と子育てを両立させています。私の夫も米軍のバンドで演奏者として働いているので、お互いにコンサートで夜が遅かったり、急に仕事が入ったりと、なかなか子供を保育園に預けることは難しいのが現状です。どうしても夫の両親に預けられない時は、リハーサル等に娘を連れていくこともありました。

5. アメリカで苦労したことはありますか?

自分が大学院に留学した時は車を持っていなかったので、遠くに演奏に行くことが出来ませんでした。また、夫と結婚するまでは学生ビザで就業ビザがなく、音楽エージェントに登録ができなかったので、演奏者としてお給料を貰って働くということもできませんでした。夫の就職と結婚をきっかけに、トランペット奏者として生活をすることができるようになりました。

6. 自身にとって重要だったと思えるアメリカでの経験は何ですか?

アメリカの大学院に進学し、音楽について深いところまで掘り下げて勉強したことだと思います。例えばオーケストラでの演奏の際には、チームの皆が音楽の背景や知識を持ち合わせているからこそ、すぐに演奏を合わせていくことができます。また生徒にアドバイスをする際もバックグラウンドを説明できるので、生徒にとってより吸収しやすいのではないかと思います。

7. 今後の目標はありますか?

理想を言えば、もっとレベルアップしていきたいです。とりあえずは、今、目の前に依頼いただいているお仕事をこなしていきたいと思います。意外と皆見てくれているので、それが将来に繋がっていくと思います。

8. アメリカで やりたいことが見つからず、もやもやしている日本人女性へのメッセージはありますか?

自分のやりたいことをとにかくやった方がいいと思います。何故ならやりたいことだと、自分の強みやアイデアがでやすいからです。自分の好きなことだと、新しいことに挑戦する時も、緊張や不安よりもワクワクが勝つので、どんどん前に進むことができます。いつやっても遅くないというのも事実なのですが、私としては、早くに始めた方が多くの経験や成長に繋がると思います。また、失敗を恐れないことも重要です。今思えば、失敗や経験をしておいて良かったなと思います。失敗することで対策を作り次の機会に成功することができ、自信に繋がったり、過去の失敗と比較して今回は楽だなとリラックスできたりします。また、失敗も何度も経験すると慣れてきて、この失敗がいつか成功に繋がるんだと心の切り替えをすぐにできるようになります。もしかすると中には他人と比較して自分を責めてしまう方もいるかもしれません。しかし、誰にでも最初はあります。何が言いたいかというと、あなたが見ている他人は、その人が努力して出来上がったその場面を見ているだけで、その人にも上手くいかない最初があったということです。そのように思うと気持ちが楽になるのではないかと思います。

★Interviewerのあとがき

今回智恵子さんにインタビューさせていただき、智恵子さんがとてもトランペットが大好きだという強い思いを感じることができました。好きなことをお仕事に繋げられているのはとても素晴らしいことだと思うと同時に、非常に羨ましく思いました。また、ご自身の今の生活がすごく恵まれているとおっしゃられていたことも印象的でした。世間が思う“普通”に生活することは、外国で移民の立場となると、難しい場面に遭遇することも多々あります。今の生活に感謝されているというのは、智恵子さんの素敵なお人柄だと感じました。いつか智恵子さんの生の演奏を聴きに行きたいです。

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