ライフステージに合わせて、自分の働き方や生き方を調整しながら、しなやかにたくましくアメリカ生活を送っている日本女性を紹介するインタビューシリーズ、「女性の生き方inアメリカ」。
第一回目は、不動産仲介業者のお仕事と、日本食レストランでのお仕事を両立されている清水良子さん(VA在住)です。
1. アメリカに来た経緯を教えてください。
日本の短大を卒業後は日本で会社員として勤めていましたが、ずっと留学を経験したいという気持ちを持っていました。オペアという制度を利用して1年間MDのベゼスタに住んでいました。1年後に帰国した後も、もっと英語を上達させたいという心残りがありましたので、再びF1ビザ(学生ビザ)を取りアメリカに渡航することを決めました。まずはNOVA Community Collegeに2年間、その後はVirginia Tech Universityに編入しHuman Developmentを専攻しました。そして、アメリカで結婚し現在に至ります。
2. 現在、どんなお仕事をされていらっしゃいますか?
現在は、Realtor(不動産仲介業者)の仕事と日本食レストランで働いています。元々は日本食レストランのみで働いていましたが、そこで出会った友人がRealtorの仕事をしていると聞き、私も興味を持ち始めました。その時ちょうど子供が幼稚園に通い始める頃で、準フルタイム又はフルタイムの仕事を探していたので良いきっかけだと思い、勉強を始めました。また仕事もとても大切なのですが、出来るだけ子供のことを優先したいという気持ちがあったので、場所を選ばす、フレキシブルに働けるこの仕事を魅力的に感じました。Realtorの仕事とは、売り手や買い手、貸し手や借り手の家探しのお手伝い、契約をサポートする仕事です。アメリカでこの仕事をするには、連邦と各州の試験に合格しなければなりません。資格を取得するには、60時間のクラスを取り、修了後に各試験を受けます。この2種類の試験は同日に受けることが可能です。60時間のクラスはオンラインクラスを受講または、学校に通う事も可能です。私は現在、VAとMD の州の資格を持っていて、DC近郊に駐在する日本人のお客様を中心にRealtorの仕事をしています。アメリカ生活の大切な一部になるお住まいをご案内させて頂くことに責任感を感じると同時にやりがいも感じております。
3. その仕事のどんなところが楽しいですか?逆に大変なことはありますか?
この仕事の楽しいところは、多種多様なお客様に会い、お話を伺い、お客様のご希望に沿った家を見つけられた際の達成感です。それぞれのお客様が異なるニーズをお持ちですので、よくお話を伺い、お客様のニーズを聞き出すコミュニケーション能力が重要となります。逆に大変なことは、タイムマネジメントです。私には子供がおりますので、学校の送り迎えやプレイデートへの参加、また家事もあります。お客様と直接やり取りする私の仕事では、お客様にご迷惑をかけないよう、きっちり計画性を持って仕事を進めることが非常に大切となります。時には、もちろん全てが上手くいかない事もありますが、反省するべき所は反省して、前に進む様に心がけています。
4. アメリカ生活で苦労したこと、日本に帰りたくなったことはありますか?
もちろん英語やVISAの問題等で大変な事もありましたが、具体的に帰りたいと思った事ははありません。VISAについては、政治や情勢により難しい事もありますが、英語については勉強していくしかないという気持ちを持っています。最近は、Youtube などでも不動産の情報を得られやすいので、時間のある時は頻繁に見るようにしています。英語が母国語ではないので、ミスコミュニケーションがないように、大切な事は必ず文字にして、ドキュメントを残す様にしています。アメリカの、家庭を大事にするという考え方は私の考えと合っているように感じます。
5. アメリカにいて、やりたいことが見つからなくてモヤモヤしている日本人女性へのメッセージはありますか?
少しでも興味のあることを行動にうつしてみるのも良いかと思います。興味の対象の人の集まりに参加して、知り合いを作ることでヒントが得られるかもしれません。アメリカは、何歳でも挑戦が可能で、失敗しても再挑戦しやすい環境だと思います。実は、私もリアルターの試験に落ちた事はありましたが、再挑戦し資格を取得しました。例えば英語を上達させたいのなら、教会やCountyの英語の無料講座に積極的に参加したり、Community CollegeのESLに通ってもいいと思います。特にCommunity Collegeですとクレジットになるものを取ると次に繋げることができると思います。そのクレジットを生かして資格をとれば就職にも有利になると思います。もしアメリカで就職したいと考えるのであれば、アメリカの資格を持っていることはとても強みになると思います。
私は日本にいる時に、『こうしなければならない』というような考え方をよくしていました。しかしアメリカの生活の中で、色々な価値観を持つ人が様々な生活をしているのを目の当たりにし、『こうしなくても他にも色々な方法がある』と考えるようになりました。大切なのは自分のペースでコツコツやっていく事だと思います。
6. 今後の夢や目標はありますか?
短期的な目標としては、現在はVAとMDのRealtorの資格を持っていますが、DCの資格取得にも挑戦し、DC内で家を探しているお客様のお手伝いもしたいと思っています。長期的な目標としては、日本に住んでいる投資家のサポートをする事業を立ち上げたいと考えています。アメリカは、人口も増えていますし土地も沢山余っています。長期的にみてまだまだ経済的に伸びていく国だと思っています。不動産の動きは経済と繋がっています。現在の仕事の経験を生かして範囲を広げ、アメリカと日本の経済の架け橋のお手伝いが出来たらと思っています。
★Interviewerのあとがき
清水さんは、働きながらも家庭を大事にしたいという思いが強い方のように感じられました。その思いにあった仕事を見つけ、働かれているのはとても素敵なことだと思います。自分の人生をどのように生きたいかという芯をしっかり持ち、考えられた結果、現在のお仕事に繋げられたのではないでしょうか。アメリカに移住し、家庭を大事にしながら仕事もしたいという方にとって、仕事を探す上での良いヒントになったのではないかと思います。また、“少しづつ頑張ればいい”というのも素敵なメッセージだと思いました。頑張りすぎることは、もちろん悪いことではありません。でも頑張りすぎることが正だと思い込むことはストレスになることもあります。日本人の方はとても頑張り屋さんが多いように思います。アメリカに移住して、異なる環境の中で頑張りすぎてストレスを感じることも多いのではないでしょうか。このメッセージは頑張りすぎてしまう日本人の方の気持ちをリラックスさせてくれると思います。