私の生き方 in アメリカ

#14: 居心地のよい場所に留まっていては、何も生まれないーフォーメン幸恵さん(VA)

5/1/2023 | 私の生き方 in アメリカ インタビュー

今回ご紹介するのは、パーソナルトレーナー、マッサージセラピスト、栄養士として活躍されているフォーメン幸恵さんです。

1. アメリカに来た経緯を教えてください。

2010年に米国海軍の夫の退役をきっかけに、縁もゆかりもないDCに、仕事も家もないまま10歳の息子と1匹の犬と引っ越してきました。軍人時代の友人がその辺りに住んでおり、エリアも良いと聞いていたので安心感はありました。DCなら都会ですし、仕事はしたいという思いはあったので、特に躊躇する理由はありませんでした。ただ今までは日本とハワイを行き来していたので、アメリカ本土に住むのはその時が初めてでした。米国海軍の規則で3年ごとの引っ越し、その他、夫が仕事で航海に半年間行ってしまうことがあったので、子供を育てながら決まったキャリアを築くことが難しかったです。基本的には引越しのたびに、基地の中での仕事についていました。

2. アメリカに移住してからはどのようなことに取り組んでいましたか。

元々体を動かすのが好きだったので、インストラクターの友人のダンス系フィットネスジムやゴールドジムに通っていました。その後に日系の会社に派遣として勤めましたが、日本のやり方は肌に合わず3ヶ月の契約満期を機にすぐに辞めてしまいました。ジムでできた知り合いの紹介で運良くDCの非営利団体での仕事が決まり、そこで4年ほど事務として働きました。私の部署はトラベル関係の部署で、リサーチャーの方々の旅券、VISAや宿泊手配等を担当していました。

その仕事をこなしながら、朝はフィットネスのトレーナーの仕事もしていました。トレーナーになったきっかけは、ジムで出来た友人が自分のジムをオープンすることになり、トレーナーをやってみないかと誘われたことです。体を鍛えることに興味を持ち始めていたので、トレーナーになるための資格(NASM)を取得することにしました。トレーナーの仕事は言葉よりも体で見せていくので、英語がすごく得意でなかった私にも良い選択肢だと思いました。

DCで働いていた会社はとても良い会社だったのですが、家庭も忙しい中で通勤に1時間半かかったり、キャリアのその先が見えず、プラス50歳手前で「本当にこのままで良いのかな」と考え始めた時期がありました。体力面で不安もあったのですが、大好きなフィットネス1本に絞りたいという気持ちが強くなり、最終的には現在の仕事に至ることになりました。

3. 現在のお仕事について詳しく聞かせていただけますか。

今は人の体作りのためのサービスを提供する会社を立ち上げ個人で活動をしています。主に3つのサービスを提供しています。1つ目はパーソナルとグループのフィットネストレーニング、2つ目はマッサージ、3つ目は栄養コーチングです。個人的に繋がりがある方を生徒さんとしているので、大体的にビジネスをしているわけではありません。

フィットネストレーニングに取り組んでいるうちに人間の体についてもっと知りたくなり、鍛える側と癒す側両方で、アスリート、運動している人を助けることが出来たらと思い、VA州のマッサージセラピストの資格を取ることにしました。当時はまだフルタイムの仕事もしていたので、土日の13か月間 (500時間)のコースを取り資格を取得しました。その後、フルタイムの仕事を辞め、マッサージスクールのインストラクターのサロンでセラピストとして働き、経験を積みました。

次に体づくりは、運動だけでは補えない部分があると気づき、栄養、食べるものについても勉強したいと思い、Nutrition Coachingの資格を取りました。現在は、1週間に2回ほど1対1でカウンセリングをし、食材や食べ方、割合をコーチングしたり、その後のフォローアップ等をしています。

Yukie's massage

マッサージのセッション前に、指や腕をストレッチ

4. その仕事の楽しい点は何ですか?逆に大変なことはありますか?

楽しいことは人との出会いです。日本人のサービス精神も活かせていて、生徒さんたちとの関係もうまく築けていると思います。本当に好きな事を仕事にしているので、日々の満足感が高く、仕事に行くのが嫌だと思ったことはほとんど無いです。強いて言えば、初めてフィットネストレーナーになった時にマイクをつけて人前で英語で喋るのが嫌でした(笑)。でも、慣れれば大丈夫になりました。

5. 話はそれるのですが、ボディビルディングの大会でメダルを獲得したことは本当ですか?

はい!ボディビルディングは、運動している人が突き詰めていくと最終的にはそこにたどり着くと思っています(笑)。自分にどれだけチャレンジできるか、自分自身との戦いになります。仕事のように毎日ジムに通い、食事制限をしてトレーニングに取り組んだ結果、2つの大会でメダルを2個取ることが出来ました!

6. アメリカで苦労したことはありますか?

言葉の壁ですね。資格の勉強をする時に特に大変でした。フィットネストレーナーの仕事でも、やはりネイティブのように上手い言いまわしが出来なくて、同じ土俵にあがれないと思う気持ちはいつもありますが、それなら自分のユニークさで勝負しようと努力しました。

日本に帰りたいと思ったことはほとんどなく、日本よりも住みやすいと感じています。年齢や性別、服装でジャッジされないのが自分に合っていると思います。けど、歳を重ねて外に出て初めて日本文化の良さが分かるようになってきて、最終的に日本に住むのが良いなとは考えています。

7. 今後の目標はありますか?

日本に帰った時に、年配の方向けにフィットネスやウェルネスを広める活動をしたいと考えています。筋肉がどれだけ大切かを伝えたいです(笑)。それが最終的には地域の活性化に繋げられたらなと思います。後はアメリカだけにとどまらず、ヨーロッパにも住んでみたいです!最終的には日本に戻りたいですけどね。

SPARTANレース

SPARTANレースに参加 (2022年)

8.アメリカにいて、やりたいことが見つからなくてもやもやしている日本人女性へのメッセージはありますか?

まずは外にでましょう!自分が何が好きかな?と考えてみましょう。私もアメリカに住む時は怖いと思っていました。けど、アメリカは年齢や性別でジャッジされにくく、入口も広いはずです。好きなことがあれば、進めていきやすい環境にあると思います。意外と一歩踏み出せば、事が前に進んでいきます!居心地のよい場所に留まっていては何も生まれないので、1個1個やれることをやっていけば良いんです。興味があることを躊躇せずやってみたらいいんです。意外とアメリカは良い人も多いですよ。異国なので失敗や辛い経験も多いと思いますが、強くなってください!また、年齢を重ねるにつれて友達や周りの環境も変わり、目標が変わってくると思います。その度に自分の目標をかえて、頭と体を柔軟に使っていけば良いと思います。とにかく自分がハッピーに、笑って生きてほしいと思います。

Y.F THERAPEUTIC MASSAGE: https://yf-massage.amtamembers.com/

★Interviewerのあとがき

幸恵さんはずっと笑顔で話してくださり、明るくて、かっこよすぎてファンになってしまいました!インタビューを終えた後、自然とすごく前向きな気持ちになりました。画面越しでしたが、沢山のエネルギーを貰いました! また、「年齢によっても環境によっても、その都度自分の目標は変わる」というメッセージが特に自分の心に響きました。私もアメリカに引っ越してきて、大学で学んだことや日本での仕事とは違う仕事をしています。時々、自分は何か1つ目標に絞って頑張れてないなと思ってしまうことがあります。でも、自分をとりまく環境や考え方が変われば、目標もやりたい事もその都度変わるよなぁと思えることができ心が軽くなりました。あとは自分自身も年齢のことを気にしなくていいのに気にしてしまうことが正直まだあります。幸恵さんの話を聞いたら、そんなことを考えているのが馬鹿らしくなりました。

Hub Parkに参加しませんか?

関連記事

#28. 興味が引かれる方の道を選ぶこと。それが日々の生活や人生を豊かにする- 小暮美怜(D.C.)

#28. 興味が引かれる方の道を選ぶこと。それが日々の生活や人生を豊かにする- 小暮美怜(D.C.)

今回は、ワシントンD.C.でロビイング・アドボカシー活動に従事している、小暮美怜さんにお話を伺いました。 1.アメリカに来た経緯を教えてください。 ダイキン工業がワシントンD.C.に新しい事務所を立ち上げたことを機に、2017年に出向者という立場で赴任してきました。 2.現在のお仕事を通して、情熱をもって取り組んでいることは何ですか?...

#26. 自分との対話を変えれば、自分自身を変えることができる ― ガート光希(VA)

#26. 自分との対話を変えれば、自分自身を変えることができる ― ガート光希(VA)

今回ご紹介するのは、アートセラピストとして活躍されているガート光希さんです。 1. アメリカに来た経緯を教えてください。 高校卒業後、大学進学するときに留学でアメリカに来ました。心理学の勉強と、英会話にも興味があったので、それを両方できるアメリカに決めました。 2. 現在のお仕事、そこに至る経緯について教えていただけますか? ...

#25.親も子どもも幸せになれる環境づくりには妥協しないー 塩谷雅子(MA)

#25.親も子どもも幸せになれる環境づくりには妥協しないー 塩谷雅子(MA)

今回は、マサチューセッツ州でコミュニティ運営や茶道の先生をしている、塩谷雅子さんにお話を伺いました。 1.アメリカに来た経緯を教えてください。 Social Enterprise Conferenceという、社会起業家大会に参加するスタディーツアーに参加した際に夫と出会い、名刺交換から交際に繋がり、2014年の結婚を機にボストンに来ました。 2.現在のお仕事、あるいは今、情熱をもって取り組んでいることは何ですか?...