私の生き方 in アメリカ

#35. 思い込みを手放したとき、本当の自分が見えてきた。「いつからでも始められる」を、今度は誰かに届けたい – 古賀マリ(NY)

11/2/2025 | 私の生き方 in アメリカ インタビュー

今回は、ニューヨーク州(NY)でプロのジャズ歌手として活躍し、現在は日系企業で勤務を続ける傍ら、人生再構築を目的としたプログラムを企画開発中の古賀マリさんにお話を伺いました。

1. アメリカに来た経緯を教えてください。

子供の頃から合唱団に所属し、10代ではアイドルを目指し、高校ではバンド活動に打ち込みました。大学時代、ジャズクラブを訪れたことをきっかけに、お酒を楽しみ、美しい衣装を着て、自由に歌を表現するジャズに魅了され、これこそ自分の進む道だと感じました。英語は話せませんでしたが、英語の歌を耳で覚えるうちに音楽と言語のつながりに惹かれ、本場で学びたいとNYの音楽院へ留学しました。そこで世界中から集まった仲間と出会い、歌手としての道を歩み始めました。

2.現在のお仕事、あるいは今、情熱をもって取り組んでいること、好きでやっていることは何ですか?

今まで自分の好きなことを大切にして生きてきたけど、今は何かを始めたいと思う人が気軽に一歩を踏み出せるようサポートしたいと考えています。現在はジャズ活動を休止し、会社員として働く傍ら、自身の経験を活かした「人生再構築プログラム」をデザインしました。誰かの人生に良い影響を与えることに自分自身の喜びを感じており、このプログラムの発信に情熱を注いでいます。現在は「note」で情報発信中で、今後は動画配信、ワークショップや起業も視野に入れています

3.「人生再構築プログラム」を開発・発信することにしたきっかけは何ですか?

コロナ禍前までは経済的な安定のため会社員として働きながら、夜は歌手としてライブ活動を続けていました。実力勝負の世界で練習に打ち込みながら、営業活動にも取り組み、自ら会場を満席にする努力を続けていました。しかし、次第にその重責を負担に感じるようになりました。それでも最後までやり抜くという強い信念があり、迷いながらも活動を続けていました。けれども、2015年のアルバム制作を機に、これが本当にやりたいことなのかと迷い始めました。評価や成功を追いすぎて、歌う喜びを見失っていたのだと思います。そして、コロナ禍で音楽活動が止まったことで、自分の目標と改めて向き合う時間が生まれたことが大きな転機となりました

4.会社員のお仕事の楽しい面や大変な面はありますか?

以前はフリーランスで歌を教えたり、友人の会社を手伝ったりしていましたが、今の会社に入って感じたのは、大企業の仕組みに順応する難しさです。何をするにも承認が必要で、最初は窮屈に感じましたが、これも新たなチャレンジだと捉え、未経験の業務にも前向きに取り組んでいます。今は、会社が求めることを最短の方法で提供することを、一種のゲームのように楽しんでいます。自分の裁量で進められる部分もあり、うまくいった時の達成感があります。また、信頼できる上司や同僚にも恵まれ、人間関係の大切さをあらためて実感しています。

ただ、日本との時差の関係で、業務後に会議が入ることもあり、なかなか大変な面もあります。

5. アメリカ生活で、苦労したこと、日本に帰りたくなった体験があれば、教えてください。

ジャズ歌手になったからといって、誰もが有名なニューヨークのクラブに出演できるわけではありません。私がそうした機会に恵まれたことは、本当に幸運だったと思いますし、私の人生にとって大きな財産となりました。無我夢中で何十年も活動を続けてきて、ようやく波に乗り始めた矢先、コロナ禍に見舞われました。音楽で成功しようと思っていたのに途中で目標を見失ってしまったことが、これまでで最もつらい時期でした。目指すものがなくなったことで、何をすればいいのか分からず、自分の存在価値さえ、分からなくなってしまいました。でも、日本に帰ろうと思ったことはありません。アメリカの方が生活しやすく、収入面を考えても、会社員でいる間は日本に戻ることはないと思います

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6.アメリカにきて、自分が成長したとおもえるようなきっかけ・ 体験談ありますか? 

会社勤めを通じて、社会や経済、地域への関心が広がり、音楽、芸術中心だった視野がニュースや政策にまで及ぶようになりました。特にアメリカでは、政策が生活に直結するため、変化に柔軟に対応する力が養われました。会話では、自分の意見を言わなくても、相手を正しく理解し対応する力が大切だと感じています。話題の幅が広がることで、自然とコミュニケーションの幅が広がり、信頼関係やネットワークも深まっていくのではないかと思っています。こうした経験を通じて自然と会話力が身につき、どんな人とも自信を持って話せるようになりました。音楽や文化への理解に社会的視点が加わり、人間的な深みも増したと実感しています。

7. 今後の夢や目標は?今後の活動をどうやって進めていきたいですか?

まず伝えたいのは、誰でもいつからでも新たな目標を持ち、前に進めるということです。特に、子育てや日々の生活に追われてきた方、何らかの役割に縛られている方。そして中年以降の方々には、定年をゴールとせず、新しい目標や行動のヒントを見つけるきっかけを届けたいと考えています。そのために、一歩ずつ準備を進められるようなサポートを提供したいと思っています。会社員として働きながらの開発は時間的に厳しいですが、意識的に時間を捻出し、少しの隙間でもプログラム開発に取り組むようにしています

進路に迷い、50歳を過ぎてから瞑想や読書、ワークショップを通して、自分の心と真剣に向き合い始めました。コロナ禍ではシャーマニズムの儀式にも参加し、10年かけて心の整理を続けてきました。この経験を誰かと共有することで、自分の歩みにも新たな意味が生まれるように感じています。どんなに時間をかけて作っても、人の目に触れなければ何も始まらない。だからこそ、まずは多くの人に届けることを目標にしています。

8.アメリカでこれから何かを始めようと思っている日本人の方にメッセージをお願いします

私自身、人生の次のステップや新しい目標を模索する必要性を強く感じています。人生はいつでもやり直すことができます。今この瞬間にワクワクするようなゴールを設定することが、前進の鍵になると考えています。そして、その目標を常にアップデートしていくと、何歳になってもサークル活動やボランティア、趣味などを探しながら、生き生きと元気に過ごせると思っています。

まずは自分は何をしたいのか、何をすると楽しいのか、何が好きなのかを改めて見つめ直すことが第一歩です。そして、自分はこれが一番好きだと思っていても、本当にそうか自分に問いかけることは、とても重要だと思います。私は自分の思い込みに気づいたとき、心が軽くなり、自分らしい生き方が見えてきました。結局は考え方や気持ちの持ち方で人生は変わっていくものだと思います。

※古賀さんのプログラムが完成次第、こちらにリンクを掲載予定です。お楽しみに。

★Interviewerのあとがき

古賀さんのお話を伺い、人生に目標を持つことの大切さを改めて実感しました。誰しも一度は「自分は何のために生きているのだろう」と、ふと考えることがあると思います。これから超高齢化社会を迎える今こそ、自分の生きがい、やりがいを見つけ、充実した人生を送るための準備が必要なのかもしれません。

他人と比べるのではなく、自分の気持ちや心の声に耳を傾け、自分自身を大切にして生きること、それは決してわがままなことではなく、幸せな人生への第一歩なのだと感じました。人生とは、自分を探す旅なのではないでしょうか。時には立ち止まり、小さなことから始めてみるのもいい。回り道をしても構わない。そんな大切なことを古賀さんから教えていただきました。

そして、これまでの経験や知識が、いつかきっと、どこかで役に立つ日が来ると信じています。古賀さんのプログラムがこれから多くの方の支えとなることを、心より願っております。

 

取材・執筆:ビュフター一枝

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