今回は、マサチューセッツ州で、トランザクションコーディネーター、ポジティブディシプリンエジュケーターとして活動する、平林明葉さんにお話を伺いました。
1.アメリカに来た経緯を教えてください。
私は帰国子女で子どもの頃アメリカに住んでいた経験があります。日本にいた時にもいつかはアメリカに戻りたいなと頭の片隅にあったような気がします。縁があってアメリカ人の夫と出会って結婚後、マサチューセッツ州、ボストンに来ました。
2.現在のお仕事、あるいは今、情熱をもって取り組んでいること、好きでやっていることは 何ですか?
今、仕事としていることが二つあります。
一つは、トランザクションコーディネーター(Transaction Coordinator)と言って、不動産エージェントの手伝いをする仕事です。書類をまとめるなど、忙しいエージェントの業務を補佐する仕事をしています。
もう一つはポジティブディシプリンエジュケーター(Positive Discipline Educator)としての活動です。私自身、今まで子育てのワークショップや育児に関する本を読んで助けられたので、自分が教える側になりたいと思い、エジュケーターとしてワークショップを開催するようになりました。
3.その仕事をはじめたきっかけは何ですか?
ボストンに来た当初は日系企業で働いていましたが、子どもが生まれ、子育てを軸とする生活になり朝から夕方までオフィスに行くことが自分の選択肢としてなくなりました。でも、自分で何かやりたい、誰かの役に立つ仕事をしたいと思い、二人目の子どもを妊娠中に不動産の資格を取りました。不動産には興味がなかったのですが、不動産好きの夫につられて資格を取得したんです。不動産のセールスのために頑張っていた時期もあったのですが、それは自分に合わないと感じるようになりました。やがて不動産のエージェントの仕事を取り巻くビジネスのうち、トランザクションコーディネーターなら自分にあっていると思い、ビジネスを始めました。今はまだ発展途上ですが、ビジネスとして安定させることができたら子育てを軸にして働きたい人達に広めていきたい、という野望を抱いています。
ポジティブディシプリンエジュケーターに関しても、やはり子育て中心の生活をしつつ、自分の子育てに役立った知識を他の人に広めたい、と思ったことがきっかけです。コロナ禍で家に閉じこもっていた時に、ペアレンティングに関わる資格を探していて出会いました。この二つの仕事は全く方向性が違うようですが、子供と過ごす時間を持ちつつ、自分のために働く、というところで、最終的に繋がるような気がしています。
4.その仕事の何が楽しいですか? 何が大変ですか?
どちらの仕事も人の役に立つことができるという点に喜びを感じます。また自分でサービス内容やその価値を決められるということもとても楽しいですし、何より仕事を通して私自身が日々成長できることが嬉しいです。
ただ裏を返せば全て自分が決めなくてはいけない、集客も自分次第というところが難しいです。この点についてはまだまだ修行中だなと感じています。
5.アメリカ生活で、苦労したこと、日本に帰りたくなった体験などを教えてください。
日本ではあまり感じないことですがが、アメリカでは均一のサービスを受けることが難しいように感じます。例えば、家の修理を頼むにしても時間通りに来てくれる、やると言ったことをやってくれるという基本的なところで信頼できる人を見つけるのはコツがいるように思います。いろいろな考え方の人がいて、それがアメリカのいいところなんですが、サービスを受ける側になると難しいですよね。だからこそ丁寧なコミュニケーションをして認識のずれをできるだけなくすように気をつけていますし、普段から周りの人との関係を大切にしようと考えるようになりました。あとは、日本食ですね。日本食が恋しくなります。
6.アメリカにきて、自分が成長したと思えるようなきっかけ・ 体験談ありますか?
たくさんあります。一番は、自分が思ったことを素直に人に言えるようになったことです。日本にいた頃はうまくいかないことや人に何か言われたりすると、自分が悪かったのかな、自分がルールを守っていなかったせいなのかなと自分を疑うことが多かったんです。でもアメリカでは自分の考えを言うことが大切にされるように思います。特に夫の家族とのコミュニケーションには大きく影響されました。結婚してすぐの頃は遠慮して自分の意見を言わずにいたんですが、遠慮していると自分の意見がどんどん流されていくことに数年かけて気づきました。そこで私の意見を言ってみたら、誰も怒らないし、「そうなのね」と私の言葉通りに受け取ってもらえて。その経験は大きかったと思います。それから少しずつ変わる努力をして、自分の意見を言えるようになりました。
7.今後の夢や目標は?
トランザクションコーディネーターのビジネスを極めて、子育てを軸にしつつビジネスをしたい人に広めていきたいです。
ポジティブディプシリンエジュケーターとしての活動は定期的にワークショップが開催できるようにしたいです。今は、1対1のクライアントへのワークショップは定期的に行っているのですが、グループでのワークショップの開催はかなり頻度が少ない状況です。これを2、3ヶ月に一回の開催を目標としています。
8.アメリカにいて、やりたいことが見つからずに、もやもやしている日本人女性へのメッセー ジをお願いします。
やりたいことが見つからない時間を大切に過ごすこともいいのではないでしょうか。もしかしたら見つからなくてもいい時期なのかもしれませんし、もやもやしている時期に焦らなくてもいいと思うんです。自分のところに「これがやりたい!」というものが来たタイミングで、そこから始めてみたらいいのではないでしょうか。
私はこれまでにたくさん悩みながら、様々なことに挑戦してきました。「私にあっていなかった」と思うことも、いまだにあります。でも総じて、挑戦するということは無意味ではないと思っています。好きでも嫌いでも、物事に失敗はつきものですが、好きなことなら失敗しても、次はどうしたらいいかなと前に進み続けられます。楽しいと思えるものを見つけて、イキイキと毎日を過ごせる方がもっともっと増えますように!
★Interviewerのあとがき
今回お話を伺って、平林さんの自分の経験をシェアし人の役に立ちたいと言う気持ちが強く伝わってきました。アメリカで子育てをしながら資格をとり、新しいことに挑戦することは簡単なことではありません。そして、これまでの経験を自分のためだけに使うのではなく、子育てと仕事を両立したい人のために役立てようとされており素晴らしい考え方だなと感じました。これからも活躍を期待しております。